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浅草》3,500年の歴史がある「グラスビーズ(glass bead)」。「浅草とんぼ玉工房」で楽しむ『とんぼ玉』づくりは、心に残る浅草土産です。

2015/07/31  

つくばエクスプレス浅草駅A2出入口を出てすぐの「浅草今半 国際通り本店」に沿って合羽橋(かっぱばし)本通りに入ります。そのまま直進し、一つ目の交差点を越えて、右手にある最初の路地を右折します。

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下町の雰囲気が残る町並みの一角にある「浅草とんぼ玉工房」は、とんぼ玉専門の工房です。工房内で製作、展示、販売を行っています。

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「とんぼ玉」とは、真ん中に穴の開いたガラス玉のことを指します。昔から装飾品として存在したとんぼ玉は、「玉(ぎょく、たま)」と「魂(たま)」が同じ意味を持ち、悪霊から身を守るための魔除けとして用いられていました。

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体験したのは期間限定で行われている「納涼フェア」(8月31日まで期間限定)の、「ひまわりとんぼ玉体験」。細い色の線が入った“ラインボール”と呼ばれるとんぼ玉1個と、ひまわり模様のとんぼ玉1個を製作し、その場で1つをスワロフスキー付きのストラップに仕立ててくださいます。予定製作時間は、全部で1時間30分です。

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教えていただいたのは、とんぼ玉作家の黒澤忍(くろさわしのぶ)さん。グループ展や個展などを行いながら、とんぼ玉の講師として勤めた後、この「浅草とんぼ玉工房」を2010年(平成22年)の10月に設立されました。

おじいさまとおばあさまが浅草でお店をしていたこともあり、よく祝い事を浅草神社で行っていた黒澤さん。そういったご縁もあり、自分が工房を開くなら浅草に…と思っていたそうです。

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まず、お手本を見て学びます。実際に黒澤さんがとんぼ玉を製作しながら、行程を一通り説明してくれました。楽しく会話をしながらも、テンポ良く仕上がっていくとんぼ玉。初めて見るとんぼ玉の製作過程と黒澤さんの技術に、取材スタッフから思わず歓声が。

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10分程で説明は終了。黒澤さんは軽やかにサンプルを一つ完成させましたが、これから初めてとんぼ玉を製作する取材スタッフは、自分たちにもできるかどうか少し不安気。そんな様子を見て「大丈夫、ちゃんと出来ますから。」と黒澤さんが笑顔で励ましてくれると、なんだかできそうな気がしてきました…!
ドキドキしながら、体験スタートです。

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自分の作りたいとんぼ玉をイメージして、好きなガラス棒の色を選びます。この「ガラス棒(別名ガラスロッド)」が、とんぼ玉の原料です。色数が豊富で迷って迷ってしまいますが、迷う時間も楽しみの一つ♪

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ガラスを溶かす作業の際には、アイプロテクターをかけます。ガラスが溶けたときに出る有害な炎を見えなくし、眼の負担を減らしてくれるのと、眼にガラスが入ることを防いでくれます。火の中のガラスの状態もよく分かるようになりますよ。

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まずはバーナーに火をつけ、ガラス棒を熱します。ガラス棒は鉛筆を持つようにして、あぶるように軽く振りながら熱します。
火の温度は1,000度程。ガラスは急な温度変化に弱く、冷ました後に割れることがあるので、熱する作業もゆっくり行います。万が一、ガラスが割れてしまった場合は、お手本のとんぼ玉をいただけるそうです。

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この「とんぼ玉」という名前が広まったのは、江戸時代の中頃といわれています。模様のついたガラス玉がトンボの目玉に似ていたことから…というのが、一番有力で有名な説。

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ちなみに英語で、虫のトンボは「ドラゴンフライ(dragonfly)」と言いますが、とんぼ玉は「グラスビーズ(glass bead)」と言われています。

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溶かしたガラスを、ステンレス棒に巻いていきます。ステンレス棒に直接ガラスを巻きつけると、後でとんぼ玉が外れなくなるので、茶色い離型剤(りけいざい)が付いています。

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ガラスを巻き付ける前に、この離型剤が真っ赤になるまで熱さないと、ガラスの中にたくさん泡が入ってしまい、ガラスが使えなくなってしまうので、注意が必要です。

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ステンレス棒でガラスを巻き取っていきます。火から取り出しても熱されたガラスはすぐに固まるわけではなく、手を止めると下へ落ちてきてしまうので、火の外に出しても同じペースで指先は変わらずクルクルと動かし続けます。

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こちらが取材スタッフ作。溶かしたガラスが思っていたよりも固く、巻き付けるのが難しいです。整える前の形を見て、昔なつかしいコマ「ベーゴマ」を思い出しました。

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そのまま手を休めず、火の中でとんぼ玉を熱しながら回し続けていると、いびつだったガラスの形が丸く整ってきて、やっと見慣れたとんぼ玉の形に。こんな行程で、真ん中に穴があいた丸いとんぼ玉を作っていたんですね。

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とんぼ玉は、3,500年前の古代メソポタミア・エジプト文明が発祥といわれています。日本では、数百年に渡って鎖国を行っていた1603年~1867年(江戸時代)に、当時唯一、交易を行っていたオランダ船によって長崎にもたらされ、一般に知られるようになりました。

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当時の文献には、まだ「とんぼ玉」という名称ではなく「舶来玉」「オランダ玉」と記載されていました。「オランダ玉」は人気が高く、やがて長崎のガラス職人もガラス玉を作り始め、その技術は、大阪、京都、そして江戸に伝えられていきました。当時は炭火の熱でガラスを溶かして作っていたようです。

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色の違うガラス棒で、とんぼ玉の模様となるラインを付けていきます。熱を保てる高さを維持しながら、ガラス棒の先端を溶かします。

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すーっと糸のように伸びるガラスを見るのは不思議な気持ちです。

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左手のガラス玉を回しながら右手も動かして…。慣れない作業で少し気持ちが焦ります。この作業が一番集中力が必要で大変でした。

アイプロテクターをかけていると、写真とは違い赤い炎の色が全く見えないので、自分で気付かないうちに手の位置がズレてしまうことが多いのですが、そんなとき黒澤さんはすぐに察して、作業をサポートしてくれます。
体験は1~3名の少人数制ということもあり、いつも側で教えてくれるので、安心して作業を進められました。

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ラインボールの後は、ひまわり模様のとんぼ玉を製作します。ラインを入れるところまでは先ほどと一緒で、その後に透明なガラスを更に巻き付ける作業に移ります。透明なガラスで覆われた姿は、まるで練り飴のよう。少し慣れてきたので、この作業は特に気持ちよかったです♪(*^v^*)

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ひまわりの模様の「ミルフィオリ」を付けていきます。ミルフィオリとは、ガラスロッドを「金太郎飴」のように組み合わせて、模様を作り出す事が出来るガラスのパーツ。イタリア語で「千の花」という意味です。

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この作業はテンポよく行わないと、先ほどの透明なガラスにミルフィオリが付かなくなってしまうので、迷わず手を動かします。

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ガラスが割れないよう、時間をかけてゆっくり冷やすために、徐冷剤(じょれいざい)の「カルライト」に入れて冷まします。とんぼ玉を作るより、冷ます方が時間がかかるのです。

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待ち時間に黒澤さんが、浅草名物「雷おこし」と飲み物を出してくださいました。「せっかく観光地である“浅草”に来てくれているのだから、その土地の名物を食べられたら嬉しいかな、と思って。」体験に来たこの機会を最後まで楽しんでもらいたい。そんな黒澤さんの人情味が伝わってきます。

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30分ほど冷ましたら完成です。思っていたよりも、なかなか上出来!完成した時の喜びが大きく、自分で作ったとんぼ玉には、とても愛着が湧きます。予定時間内に終わるか案じていましたが、その点も問題なく完成させることができました。

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自分で製作した二つのとんぼ玉は持ち帰りますが、一つはストラップに仕上げます。もう一つは、ちょうど取材スタッフが髪につけていた「かんざし」のとんぼ玉と付け替えてもらいました。早速その場で身につけて帰れるのは嬉しいですね。

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装飾品として愛されているとんぼ玉ですが、実は昔は交易品としても用いられており、1501年~1600年(戦国時代から安土桃山時代)にヨーロッパ諸国で盛んに生産され世界中に広まりました。

イタリアのベネチアでは、とんぼ玉などのビーズを他国に貨幣代わりに輸出し、資源や金品と交換しました。それだけ価値のある品として重宝されていたんですね。

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楽しい時間は、あっという間。この日の体験は終了です。「また是非遊びに来てくださいね♪」名残惜しくもお店を後に。黒澤さん、丁寧なご指導ありがとうございました!

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とんぼ玉は、3,500年前につくられていた頃から、身近な方へのプレゼントとされていたそう。心を込めて作ったとんぼ玉に、想いを込めていたのかもしれませんね。

歴史あるとんぼ玉製作を気軽に楽しめる「浅草とんぼ玉工房」で楽しむ『とんぼ玉』づくりは、とんぼ玉を買うだけでは味わうことのできない、心に残る浅草土産です。

浅草とんぼ玉工房
住所〒111-0035 東京都台東区西浅草3-6-13大西ビル1階
駅・アクセスつくばエクスプレス浅草駅 徒歩5分弱
営業時間10:00~18:00(木~日、月・水は体験のみ)
定休日火曜日
Webhttp://www006.upp.so-net.ne.jp/asakusatonbo/index.html
電話番号03-6316-7604


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