銀座》「本能寺の変」で、信長に一番槍をつけた安田作兵衛が創建した「豊岩稲荷神社(とよいわいなりじんじゃ)」は、銀座の路地裏に佇む隠れスポットです。 » 東京すごろく
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銀座》「本能寺の変」で、信長に一番槍をつけた安田作兵衛が創建した「豊岩稲荷神社(とよいわいなりじんじゃ)」は、銀座の路地裏に佇む隠れスポットです。

2016/12/22  

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東京メトロ「銀座駅」A1出入口の階段を登り、1つ目の角を左に曲がると「銀座鈴らん通り」に入ります。そのまま2つの交差点を進むと左側に「豊岩稲荷神社(とよいわいなりじんじゃ)」の石碑が見えてきます。

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入り口には、朱色で「豊岩稲荷神社」と書かれた石碑が立っています。そのまま素通りしてしまいそうなほど狭い空間です。この小道が「豊岩稲荷神社」の参道になっており、ほのかな灯りに誘われ奥へ進むと、2体のお稲荷様が鎮座する本殿が見えてきます。ビルの壁に埋め込まれた社殿を、昼でも薄暗い中で拝むのは、なんとも神秘的な雰囲気です。

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屋根から吊り下げられた常夜燈を目印に進むと、左側一面朱色の壁が現れ、小さいながらも厳かな空間を創り出しています。元々はこの場所に立派な社殿が建てられていたそうですが、相次ぐビルの建設により、1993年(平成5年)にこのような姿になったと言われています。元々この稲荷神社のある路地は、江戸時代の”長屋”の構造を引き継いだもので、ほとんど姿を変えず現代に生きています。

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「豊岩稲荷神社」には、実は3つの行き方が存在します。1つ目は、銀座鈴らん通りから。2つ目は、交詢社(こうじゅんしゃ)通りにある「銀座御幸ビル」と「丸吉ビル」の間から。3つ目は、花椿通りを南下した「SHISEIDO THE GINZA(資生堂ザ銀座)」の左横から。中でも交詢社通りから入る路地は、幅60cmほどで日の光がわずかに届くだけの薄暗い道。途中には天井が現れ、進むと自動ドアが出現したり。表通りとはまた違った趣の路地裏を歩くことができます。

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江戸時代よりこの地に縁結び・火防の神として信仰を集め、大正から戦前昭和の歌舞伎を代表する役者の一人・市村 羽左衛門(いちむら うざえもん)からの崇敬も篤かった「豊岩稲荷神社」。創建年は不明ですが、明智光秀の家臣である安田作兵衛が主家の再建を願って祀ったことがはじまりとされています。

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安田作兵衛といえば、”明智三羽烏”の一人で本能寺の変の際に、織田信長に一番槍の傷を負わせたという武勇伝があることで知られています。本能寺の変は歴史的な事件の一つですが、未だ謎の残る事件でもあります。そんな本能寺の変で、信長に傷を負わせたと言われる作兵衛。『明治大正文学全集』によれば、「信長が腕を負傷し奥の部屋へ入るが、残燈が消えずにいたので信長の影がありありと障子に映る。そこをすかさず槍で突いた」という記録が残されています。

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本能寺の変ののち、作兵衛は森蘭丸から受けた傷の治療のため山崎の合戦には参戦せず、命拾いをします。それでも、追われる身となった作兵衛は「天野源右衛門(あまのげんえもん)」と名を改め浪人となり、一番槍の腕を買われ森蘭丸の兄・森 長可(もり ながよし)や羽柴 秀勝(はしば ひでかつ)・羽柴 秀長(はしば ひでなが)・蒲生 氏郷(がもう うじさと)など名だたる武将に仕えることになります。しかしいずれも長続きしなかったそう。

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気性の荒い作兵衛が最後に選んだ出仕先は、唐津城主8万石の旧友・寺沢広高(てらさわ ひろたか)でした。『翁草』によれば、若き日の作兵衛と広高が、どちらかが立身出世したら、もう片方を10分の1の俸禄で召抱える約束をしていたとされています。作兵衛の墓は今でも、唐津藩主の菩提所・浄泰寺で静かに眠っています。

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路地裏に隠れたように鎮座する「豊岩稲荷神社」。明智家再興を願って祀られた当社がなぜ、江戸・銀座の地に創建されたのか。ここからは想像なのですが、謀反人である明智光秀の御領地である近江(現・滋賀県)がはばかられ、唐津藩が江戸に屋敷を構えていたことから、遠く離れた江戸に創建したのかも知れません。

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神棚の隣には、真新しいお神酒と油揚げがほとんど毎日お供えされています。歌舞伎役者をはじめ、銀座7丁目町会の方々からの厚い信仰のある当社。姿形を変えても今も変わらず多くの人々から崇敬され、銀座の地にあり続ける様には独特な存在感が感じられます。銀座のきらびやかな世界からかけ離れた静寂な空間を味わうのもまた、銀座歩きの醍醐味なのかも知れません。

豊岩稲荷神社
住所〒104-0061 東京都中央区銀座7丁目8-14
駅・アクセス東京メトロ銀座駅A1出入口 徒歩6分


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