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日暮里》駄菓子屋横丁最後の1店『大屋商店』は、オトナたちの”あの頃”の思い出が詰まっています。

2015/12/17  

JR京浜東北線、日暮里舎人ライナー 日暮里駅東口を出て、正面に見える巨大な高層ビル「ステーションガーデンタワー」の2階に、駄菓子問屋「大屋商店」があります。

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真新しいビルの中に駄菓子の問屋さんがあるのは、なかなか珍しい光景です。このビルを含む日暮里駅前エリアは、日暮里駅から足立区の見沼代親水公園(みぬまだいしんすいこうえん)駅を結ぶ「日暮里舎人ライナー」の2008年(平成20年)開業に合わせて再開発されたのです。

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かつてはここに「日暮里駄菓子屋横丁」と呼ばれた駄菓子問屋街がありました。戦後、上野・錦糸町に並ぶ「三大闇市」として栄えたところに端を発し、最盛期の1950年代から1970年代ごろまでは100件以上もの店が軒を連ねていたほど賑わいを見せていましたが、時代の移り変わりとともに数を減らし、そして2004年(平成16年)に再開発のため取り壊しとなりました。

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駄菓子問屋はその後建築されたステーションガーデンタワーへ、「大屋商店」と「村山商店」の2店が移りましたが、「村山商店」は2014年(平成27年)12月に惜しまれながら閉店となりました。駄菓子屋横丁の面影を残す最後の1店となったのが、この「大屋商店」なのです。

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お店の外には「うまい棒」1袋30本セットがぎっしり詰まった大棚があります。コーンポタージュ、サラダ、めんたい……数だけでなく味のバリエーションも豊富なところは、さすが問屋さんです。

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店内には駄菓子のボトルや箱が天井に届くまで所狭しと積まれています。お小遣いを手に近所の駄菓子屋さんに走っていったあの頃の思い出が蘇るように、思わず顔がほころんでしまいます。

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「大屋商店」は問屋なので、バラ売りではなく箱売りのみ。業者さんはもちろんですが、子供の頃には叶わなかった大人買いを楽しみにやってくる一般のお客さんも多いようです。

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駄菓子というと10円、20円で買えるカラフルなパッケージの飴玉やガムなどを思い浮かべますが、そもそもは茶席などで用いられる高級菓子に対して、安価な菓子のことを駄菓子いいます。遡ること江戸時代にはすでに、「一文菓子」とよばれた雑穀や水飴などの安価な材料で作られたお菓子があったようです。甘いものを食べたいという庶民の欲求を満たしてきたお手頃な存在、それが駄菓子なのです。

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「大屋商店」で一番人気なのは、「元祖植田のあんこ玉」。一口サイズの餡子に香ばしいきな粉がたっぷりかかった可愛らしいあんこ玉は、戦前から続く「植田製菓工場」ただ一軒のみが、今も家族での製造を続けています。

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あんこ玉の発祥は、元々作っていた羊羹の売れ行きがいまいちで、売れ残ったものを煮直した餡を丸めてきな粉をつけたことだそうです。このきな粉は炒豆屋で豆を炒ってから挽く特製品で、銀座に暖簾を構える有名な和菓子屋からも注文があるほど香り高い一品。それなのに一粒10円ほどで食べられるお手頃感はまさに駄菓子。人気なのも頷けます。

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もう一つの人気商品は、大きなボトルに40杯ものイカゲソがぎゅうぎゅうに詰まった、よっちゃん食品工業の「けんこうKAMU KAMU」。大きなボトルからひとつだけ取り出すその瞬間にワクワクしたものですが、ここではボトルごと大人買いできます。

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しっかり乾燥させたイカゲソは噛み応え充分。唐辛子の効いた甘辛い味が、噛めば噛むほどどんどん口の中に広がります。子供の頃は気づかなかったけど、大人にとってはいい酒のつまみになりそう。

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ビニールのカバーと中蓋がついた姿は、まさに給食で食べた瓶入りのヨーグルト。「モロッコフルーツヨーグル」は、小さな木のスプーンでちまちま掬って食べるのが楽しいですよね。

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5種類のフレーバーがあるので箱買いしても飽きないし、デスクの上に1、2個おいておやつにするのも可愛いかも? 「ヨーグルト」ではなく「ヨーグル」なのは、本物のヨーグルトではないからだそうですが、そのジャンキー感も駄菓子の魅力でしょう。

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タクマの「ソースうまかつ」は、ソースの芳醇な香りが食欲をそそります。肉ではなく魚を使っているようですが、味はびっくりするくらいソースかつそのままでやみつきになります。一口サイズだからってぱくぱく食べてると、あっという間にボトルが空になってしまいそう。

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JRの電車を模したチョコレート、黒谷商店の「JR電車チョコ」は、全国各地を走る車両のデザインを細部まで再現しています。手前にあるのは小田原行きの東海道線。お菓子よりもおもちゃとして楽しめそうです。

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レトロなイラストと色使いが懐かしい「リリーパチンコガム」。箱の横についている黄色いバーを押すと、ガム がパチンコ玉のように転がり落ちてくる仕組みです。

    福引きのように、ガムの色によって当たり外れが付いています。青は30円分、黄色は50円分、赤は100円分のお菓子や玩具と交換できるようになっています。お菓子に当たりがついているのも、子供たちを楽しませる駄菓子屋ならではの文化かもしれません。

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    駄菓子屋には駄菓子だけでなく玩具も売っているのが一般的です。小さい頃に一度は遊んだことのある「けん玉」は、近年海外でその面白さが再認識されたことが記憶に新しいです。

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    お菓子と玩具が小さなお店いっぱいに並ぶ駄菓子屋さん。学校帰りに友達と集まって、学校であったことをお店のおじさん、おばさんを交えてみんなでおしゃべりをして過ごしました。大人になってから改めて食べる駄菓子の味は、いつの間にか忘れていた小さい頃の思い出を、ふと思い起こさせてくれます。

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    「でもほとんど利益なんて出ないから、もうやめちゃう人も多いのよ。」お店の方は寂しそうな笑顔でそう言います。今はそこかしこにあるコンビニで、次々と新しいお菓子が売られる時代。それでも「大屋商店」にはひっきりなしにお客さんが来て、昔懐かしい駄菓子を山ほど買って、和やかにおしゃべりをして帰っていきます。

    数十年前、小銭を握りしめて駄菓子屋へ通ったかつての子どもたちが、今は何枚ものお札を懐に入れてやってくる”オトナの駄菓子屋”、「大屋商店」。日暮里駄菓子屋横丁の面影を、いつまでも留めてほしいと願います。

大屋商店
住所〒116-0013 東京都荒川区西日暮里2-25-1
駅・アクセスJR・日暮里舎人ライナー 日暮里駅東口 徒歩1分
営業時間9時-17時
定休日毎週月曜日、第3火曜日
電話番号03-3801-2530


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