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神保町》福沢 諭吉(ふくざわ ゆきち)の勧めで1887年(明治20年)に創業した「文房堂」。震災や戦争をくぐり抜け、多くの芸術家を支え続ける佇まいそのものが「アート」です。

2017/04/14  

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都営三田線・新宿線 東京メトロ半蔵門線「神保町駅」のA7番出入口より、南下すると左手側に、「神田すずらん通り」があります。

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「神田すずらん通り」を西に程なく歩くと、右手側に文具・画材・雑貨専門店「文房堂(ぶんぽうどう)」があります。様々な書店や出版社が多く立ち並び「世界一の古書街」としても知られる「神保町」の中で、ひときわ重厚感を漂わせる石造りの建物です。

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「文房堂」は、1887年(明治20年)に、神田区小川町で創業。「文房堂」の創業者である池田 治朗吉(いけだ じろきち)氏の遠縁に当たる、「丸善雄松堂」の創業者 早矢仕 有的(はやし ゆうてき)氏が経営していた「中西屋書店」の一角を借りてスタートしました。

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池田氏、早矢仕氏ともに、福沢 諭吉(ふくざわ ゆきち)の門下生であり、西洋文化を推奨してした福澤 諭吉より「丸善雄松堂」には西洋文化と書物、「文房堂」には西洋美術や画材の輸入販売を勧めたと伝えられています。その後、互いにその世界での確固たる礎を築く事になります。

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1906年(明治39年)、「中西屋書店」より独立し「神田すずらん通り」に「文房堂」を構えました。現在の社屋の正面外壁は、1922年(大正11年)に施工。翌年の1923年(大正12年)に起きた関東大震災により、店舗内部は焼失する事態に見舞われましたが、建物自体は当時では数少ない鉄筋コンクリート構造であった為、倒壊を免れる事が出来ました。

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その後、第二次世界大戦の戦禍もくぐり抜け、1990年(平成元年)に、千代田区より「都市景観賞」を授与。 同年、建物の老朽化もあり、外壁のみを保存し背面の建物を特殊工法より建替えました。
2003年(平成14年)に、「千代田区景観まちづくり重要物件」に指定。外壁補修工事を行い、現在もその姿を保っています。

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外壁には、櫛で引っ掻いた様な細いラインをつけて焼き上げた「スクラッチタイル」が採用されいます。釉(うわぐすり)を施さない無釉(むゆう)タイルで、光の反射が起こらず、重厚感のある陰影を演出。素焼きの陶器で装飾された花飾りもあいまって、印象的な佇まいとなっています。

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「文房堂」は、地下1階、地上7階建て。店内に入ると、2階までの吹き抜けの明るい空間が広がります。

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1階、「画材・文房堂セレクション」のフロア。
入り口付近には、国内外の様々な雑貨や、文房具が取り揃えられ、見ているだけでも楽しめるアイテムが所狭しと並びます。テーマに沿ったフェアも定期的に開催され、常にフレッシュな品揃えとなっています。

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開業当初は、輸入文具や画材のみを扱っていた「文房堂」ですが、時代の移り変わりと共に、オリジナル文具も製造販売するようになりました。

「文房堂」のオリジナル原稿用紙は、山本有三(やまもと ゆうぞう)、直木三十五(なおき さんじゅうご)、北原白秋(きたはら はくしゅう)、萩原朔太郎(はぎわら さくたろう)などの明治、大正、昭和の名だたる文豪に愛されたそう。
現在は「復刻版 文房堂製原稿用紙」として、寸法、マス目、活版印字も当時のまま再現されたものが限定販売されています。特に愛用者だった有島武郎(ありしま たけお)、中原中也(なかはら ちゅうや)、横溝正史(よこみぞ せいし)の当時の直筆原稿を写真製版で印刷したものを、それぞれ表紙に採用。生々しい筆跡で、文豪達の息遣いを垣間見ることができます。

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「元祖 大学ノート」。
1890年(明治23年)より「ノート」の製造・発売を開始しました。今日の「大学ノート」の前身とも云われ、デザイン・綴じ・紙質の全てにこだわり、学生の間で人気を博しました。
現在販売されている「復刻版 大学ノート」も、当時の「帳簿糸がかり製本」と言われる昔ながらの技法で再現。手作業で1冊ずつ職人が仕上げ、「帳簿」のように毎日閉じ開きしても傷まない丈夫さ・開きのよさ・耐久性が兼ね備えられています。

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「復刻版 文房堂オリジナルスケッチブック シレーヌ」。
表紙には、現代日本のグラフィックデザインの礎を築き、商業デザインの先駆者の一人である、杉浦非水(すぎうら ひすい)のデザインを採用しています。これは、1920年(大正9年)に発刊された、「文房堂」のカタログの表紙を再現したもの。アルフォンス・ミュシャに傾倒した杉浦非水のアールヌーヴォーの流れを取り入れたデザインは、現代においても色褪せない魅力があります。

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1階奥には、美術画材が揃います。
洋画用の油絵の具、筆、ナイフ、キャンバス、木枠、パレットなどカラフルな道具が美しく並ぶ佇まいは、まさに「芸術の生み出される場所」です。

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筆を一つ選ぶにも、用途に合わせ様々です。生き生きとした描画をするなら丸型、エッジにある表現なら斜め方、ぼかしたいなら扇型、シャープなタッチならペインティングナイフ…。
描く者のイマジネーションを刺激する、幅広いセレクションとなっています。

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「文房堂」オリジナル「アーチスト油絵の具」。
国産の油絵の具は、1921年(大正10年)に「文房堂」から初めて製造・販売されました。
顔料の純度が高く深みのある色合いで、数多くの画家より賞賛され愛用されています。
美しい発色を長期間保てるように研究開発され、ラベルには絵具の経年変化や耐久性の確認・テストの情報が盛り込まれています。

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1階から2階へ続く階段には、数え切れないほどのポストカードが。
本物の絵画やリトグラフなどを手に入れるのは難しいですが、ポストカードならアート作品を身近に取り入れる事ができます。手紙としても、インテリアとしてもぴったりのアイテムです。

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2階は、「版画・粘土・絵手紙材料」のフロア。
版画制作関連の画材の品揃えは日本一を誇ります。海外ブランドのリトグラフ用品や、銅版画、木版画、シルクスクリーンから、消しゴムはんこ用品まで豊富な品揃え。入手困難なアイテムも多く、全国各地から作家が訪れるそう。
手ぬぐいなどの、一般的な生活用和雑貨も各種取り揃えられています。

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「文房堂」オリジナル「銅版画エッチングプレス機」。
凹版印刷の一種である銅版画に使用するプレス機です。銅板に、描画部分を腐食させて作る「エッチング」や、直接彫る「エングレーヴィング」などの技法で凹部を作成し、プレス機で圧をかけて印刷します。
「文房堂」では、往復はがきサイズまでの「モンプチ」、A4サイズまでの「S型」、A3サイズまでの「M型」など、設置場所や使い勝手などに配慮した設計のプレス機が各種揃えられています。

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「文房堂」オリジナル「アーチスト銅版画インキ」。
国産では唯一の銅版画インキです。高濃度顔料の為、版への定着が良く、紙への再現性や薄いインキ層での発色の良さが特徴となっています。耐光性にも優れ、油滲みも起こりにくくなっています。

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3階は、「文房堂 ギャラリーカフェ」のフロア。
2016年(平成28年)に新たに誕生した、カフェとギャラリーの融合スペースです。様々な企画を取り入れた上質なアートと、産地・焙煎・淹れ方にこだわった珈琲を同時に楽しむ事ができます。

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明るい日差しが注ぎ込む窓辺のカウンター席は特に人気です。ゆっくりと読書を楽しむにもぴったり。
平日限定のケーキは、神保町の人気タルト専門『STYLE’S CAKES & CO.』の毎朝焼きたてのものを仕入れています。このケーキを目当てに訪れる人も少なくないとか。

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4階「文房堂ギャラリー」。
都内随一の広さを誇る本格ギャラリースペースです。個展からグループ展まで柔軟に対応することが可能で、若手作家を始め様々な企画展が催されています。

5階と7階は、「アートスクール」のフロアとなっており、デッサン、水彩画、リトグラフ、パステル画…など、50種類以上の講座が日々行われています。講座で学んだ後、3階や4階のギャラリーで展示会をする方も多いそう。

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6F「額縁」のフロア。
油彩額、水彩額、デッサン用など本格的なものから、フォトフレーム、ポスターフレームといった、普段使いのものまで幅広く取り揃えられています。

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作品の印象を左右する額縁。大きさやイメージに合わせたオリジナルフレームを注文することもできます。額縁専門の熟練したスタッフが多く在籍しているので、初めてでも心配無用。じっくりと丁寧に作品と向き合い、思い通りの額縁をオーダーすることができます。

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地下1階「文具・紙・デザイン・コミック」。
漫画原稿用紙、ペン軸、ペン先、インク、スクリーントーンなどの人気の漫画用画材を始め、ミリペン、パース定規、スチレンボード、コピックマーカー、トレーシングペーパーなどの製図用、デザイン制作用の画材も多数取り揃えられています。

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近年では、パソコンで制作されることも多いジャンルですが、今も手書きにこだわる方は多く、デジタルでは表現しきれない良さを求め、日々様々な客が訪れています。

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明治、大正、昭和、そして平成に渡り、様々な芸術家を支えてきた「文房堂」。時代の移り変わりとともにアイテムを見定め、柔軟に寄り添った商品ラインナップが人々を魅了し続けています。
130年の歴史の中で震災や戦争など困難な時代もくぐり抜け、「芸術」という希望の光を灯し続ける「文房堂」の佇まいそのものが「アート」となっています。

株式会社文房堂(ぶんぽうどう)
住所〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-21-1 
駅・アクセス地下鉄 神保町駅
都営三田線・新宿線 東京メトロ半蔵門線
A7・A5出口より徒歩約3~5分

JR 御茶ノ水駅
御茶ノ水橋口より徒歩約7分

地下鉄 新御茶ノ水駅
東京メトロ千代田線 B5出口より徒歩約7分

有料駐車場案内
・タイムズ神田神保町第4
 千代田区神田神保町1-1(すずらん通り・台数5台) 
・リパーク神保町三井ビルディング駐車場
 千代田区神田神保町1-105(5台)
営業時間10:00~19:30(ギャラリーのみ18:30終了)
年中無休(年末年始除く)
Webhttp://www.bumpodo.co.jp/
電話番号Tel. 03-3291-3441(代表)


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